デジタルプラットフォーム取引相談窓口(アプリストア利用事業者向け) Digital platform consultation desk for app developers

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令和3年度におけるデジタルプラットフォーム取引相談窓口の運用状況について(アプリストア利用事業者向け)

「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」(アプリストア利用事業者向け)は、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(令和2年法律第38号)(以下「透明化法」といいます。)の実効的な運用を図るための取組の一つとして、令和3年4月1日に設置されました(経済産業省委託事業)。

相談窓口では、デジタルプラットフォームを利用する事業者(アプリストアを利用する出店事業者等)の取引上の課題等に関する悩みや相談に専門の相談員が無料で応じ、アドバイスをしています。また、相談・情報提供を受け付けるのみならず、利用事業者へのヒアリングやアンケート等を実施し、日頃の情報収集に努めています。

相談窓口に寄せられた事業者の皆様の声については、共通する取引上の課題を抽出し、関係者間で共有することを通じて、取引環境の改善にも役立てられます。

例えば、相談窓口に寄せられた情報は、透明化法に基づき毎年度実施される、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性を評価するプロセス(モニタリング・レビュー)において活用されています。モニタリング・レビューは、有識者等の意見も聞きながら実施されるものであり、特定デジタルプラットフォーム提供者(規制対象である大手アプリストア運営事業者)は、評価結果を踏まえて運営改善に努めなければならないとされています。

デジタルプラットフォーム取引相談窓口
(アプリストア利用事業者向け)Digital platform consultation desk for app developers

一般社団法人
モバイル・コンテンツ・フォーラム

対応日時:
平日10:00~17:00
※土日・祝日・年末年始(12月28日から翌年の1月3日まで)等を除く。
問い合わせ先:
電話:0120-535-366
FAX:03-6456-2956
E-MAIL:
※事業者名、アプリ名、相談したい内容(特定デジタルプラットフォームに関する事項、等)、返信先(担当者名、メールアドレス)などを明記してご連絡ください。

【主な支援内容】

  • デジタルプラットフォーム提供者への質問・相談方法等に関するアドバイス
  • 弁護士の情報提供・費用補助
  • 利用事業者向けセミナー・法律相談会等の実施
  • 複数の相談者に共通する課題を抽出し、解決に向けて検討
  • デジタルプラットフォーム提供者との相互理解の促進支援1
1:相談窓口では、相談者の方々に安心して相談してもらえるよう、窓口に寄せられた相談情報に関しては、相談者の利益が害されないよう、細心の注意を払いながら取り扱っています。相談内容に応じて特定デジタルプラットフォーム提供者への照会を行うこともありますが、相談の解決や事実関係の把握のために特に必要な場合に限って行うこととしています。また、照会するにあたっては、相談者の了解を事前に得た上で行うなど、相談者の方々に配慮した運用としています。

本資料は、令和3年度(令和3年4月1日から令和4年3月31日まで)に本相談窓口が受け付けた相談・情報提供及びヒアリング等を通じて情報収集した内容等を、相談窓口の運用状況としてまとめたものです。

1.相談窓口に寄せられた情報提供件数等

(1)情報提供の総数及び情報提供の経路別の内訳

令和3年度において、本相談窓口に寄せられた情報提供件数(窓口において受け付けた情報の内容に応じてカウントされた件数であり、ポジティブな内容やネガティブな内容等を含みます。以下同じ。)は、1,407件でした。
このうち、利用者から窓口に電話やwebフォーム等を利用して寄せられた相談・情報提供が53件、相談窓口が行ったヒアリング等により収集した情報が1,354件でした。

(2)情報提供の内容別の内訳

本相談窓口に寄せられた情報提供の内容別の内訳については、「取引条件の変更に関する事項」が257件(18%)、「取引の一部拒絶(出品禁止等)に関する事項」が250件(18%)、「検索順位・ランキング等に関する事項」が234件(17%)でした。
また、以下の図表において数値の記載はありませんが、各相談・情報提供に付随して寄せられた苦情及び紛争の処理体制・手続に関する情報提供が245件でした。

図表1 情報提供件数(内容別)
単位:件
図表1 情報提供件数(内容別) 注:情報提供件数は、各窓口において情報の内容に応じてカウントされた件数であり、ポジティブな内容やネガティブな内容等を含む。
図表2 情報提供件数の内容別割合
令和3年度(令和3年4月1日から令和4年3月31日まで)
図表2 情報提供件数の内容別割合 注:情報提供件数は、各窓口において情報の内容に応じてカウントされた件数であり、ポジティブな内容やネガティブな内容等を含む。

2.相談窓口に寄せられた利用事業者からの声

相談窓口に寄せられた利用事業者の声の一例をご紹介します2
なお、寄せられた相談のうち一部の事案においては、相談窓口からの助言を受けてプラットフォーム運営者への異議申立てやプラットフォーム運営者との協議等の対応を行い、アカウント停止措置等が解消された、といった声も寄せられました。
2:令和3年4月以降に相談窓口に寄せられた利用事業者の声をもとに、比較的多く寄せられた内容や多くの利用事業者に影響しうる内容を整理したものであり、規約等の誤解や認識不足に基づく不満が含まれ得る点に留意する必要があります。これらの声は、透明化法に基づき、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性を評価するプロセス(モニタリング・レビュー)においても活用されています。

(1)手数料・課金方法

  • アプリ内決済の手数料率が軽減された。
  • アプリストア運営事業者が定める手数料の水準・位置付けや決済ルールに納得できない。
    1. 手数料の水準が高いと感じる。アプリストアの運営にかかる費用等、手数料水準の理由が十分に開示されるべき。
    2. 手数料により、アプリストア運営事業者自身やその関連会社が提供する同様のアプリと大きなコストの差が生じ、公正な競争ができない。
    3. アプリ内決済サービスの利用を強制され、不合理であると感じる。また、アプリからアウトリンクで他の決済方法に誘導することが禁止されている。当該ルールから派生して、サービス展開への制約やユーザービリティに影響が生じている。

(2)返金関係

  • 取引履歴を見られるようになったので、アプリ利用者(ユーザー)への二重返金を防げるようになった。
  • アプリストア運営事業者が返金ルールや返金受入れを決定しており、利用事業者に負担が生じている。
    1. ユーザーから90日以内に返金要請があり、アプリストア運営事業者の判断でユーザーに返金した場合、利用事業者はそれを受け入れなければならない。悪意のあるユーザーからの返金要請があることを考えると、不合理なルールであると思う。
    2. 無条件返金期間後の返金が認められるのは、製品保証違反や法令違反等の一定の場合に限定されている。アプリストア運営事業者が返金判断を行うにあたり、利用事業者による反論の機会がない。
    3. ユーザーからの返金要請に問題がある場合、利用事業者がそれを立証しなければならない。しかし、問題を分析するために必要な情報(具体的な返金要請の内容、返金理由等)がアプリストア運営事業者から開示されないので、異議申立ては実質的に困難である。

(3)アプリの審査関係

  • アプリのリジェクト通知メール内に理由が記載されるようになった。アプリのリジェクト理由について電話で担当者と相談して解決することも多い。アプリ審査で引っかかったときに詳細な説明をしてくれるようになった。
  • アプリ審査の一貫性等の点で以前に比べ改善されている。アプリの審査スピードが以前よりも早くなった。
  • アプリの審査の見通しを十分に立てられず、投資判断に影響が生じている。
    1. 開示された審査ガイドラインがわかりにくく、どこまでが許されるのか事前に判断ができない。アプリ開発には時間とコストがかかるため、リジェクトの例示や規範となるべきものが示されるべき。
    2. 事前にアプリストア運営事業者のレビューを受けたにもかかわらず、本審査ではリジェクトされた。本審査に直結する事前審査やヒアリングの仕組みがないことも問題だと感じている。審査の予見可能性を高めるべき。
    3. 日本で適法に提供していたゲームであるにもかかわらず、ある日突然ポリシー違反であるとして一律に禁止された。
  • アプリの審査が不合理・不公平だと感じる。
    1. ある機能を導入したアプリについて、他社が提供しているアプリでは承認されているのに、当社のアプリについてはリジェクトされた。利用事業者間の取扱いに不公平があると感じる。審査の一貫性・公平性を担保してほしい。
    2. ユーザー情報の収集が過度に禁止されている結果、アプリが提供するサービスの性質上重要となる情報が収集できない。当該ルールを定める上での事前評価が不十分ではないか。
  • 既にアプリストア上で提供されているアプリを削除する際には、既に当該アプリを利用しているユーザーにも影響が生じるので、事前に利用事業者にその旨通知し、アプリを改修する機会を与えてほしい。

(4)アカウント停止関係

  • アプリストア上で提供しているアプリについてガイドライン違反を指摘され、それを理由に事前通知なくアカウントを停止され、それに伴い、提供していた他のアプリも同時に削除されてしまった。その結果、大きな損失を被った。仮にガイドライン違反があったとしても、当該アプリを改修すればよい話であり、即時にアカウントを停止されたことには納得できない。

(5)苦情処理・相談体制

  • 日本語での対応が行われることになり、言語的問題は改善していると感じる。
  • 問題等が生じたときにアプリストア運営事業者と十分にコミュニケーションができず、解決につながらない。
    1. 問合せに対する回答が定型文で問題が解決しない。
    2. ウェブからのやりとりに問題ないが、電話で問い合わせをするとたらい回しになる事が多い。緊急の場合に電話する事が多いが、電話で話しても最終的に「ウェブから問い合わせてください」とすぐに返答してもらえない事が数回あった。

(6)アプリの表示順位等

  • 検索順位やランキング表示について、ベストプラクティスを公表しており分かりやすい。
  • アプリを表示する仕組みが不明瞭・不公平と感じる問題
    1. おすすめページに掲載される基準が不明確である。検索順位の決定の仕方が曖昧に表現されていると感じる。
    2. 検索順位等において、アプリストア運営事業者が自社アプリを優遇しているのではないかと感じる。しかし、ロジック・アルゴリズムが非公開のため、本当に優遇していないかについて利用事業者側は確認することができない。

(7)アプリストア運営事業者によるデータ利用

  • あるアプリストアは、当社のアプリを含む全てのアプリの情報を持ち得る立場を利用して、利用事業者が行っているサービスをつなぎ合わせて自社サービスに反映しているように感じる。サービス内容を見ると、今後、当社でも展開しようとしていたサービスと重複していた。

※その他、「規約や通知が以前より分かりやすくなった」、「利用者向けの説明会や質疑応答の機会が提供され、双方向のコミュニケーションがとれるようになった」との声も寄せられています。

3.相談窓口におけるその他の取組(利用事業者向け説明会の実施等)

相談窓口では、透明化法や相談窓口についての理解を深めていただくために、利用事業者向けのセミナー・説明会等を開催しています。
令和3年度においては、アプリストア利用事業者向けの説明会を3回開催し、約540名にご参加いただきました。
参加者からは「非常に役に立った」、「有益であった」などの声が多数寄せられ、また、説明会への参加を契機として新たな相談・情報提供もいただきました。
また、相談窓口では、海外における関係機関との情報交換等も行っています。

※デジタルプラットフォーム取引相談窓口には、アプリストア利用事業者向けのほか、オンラインモール利用事業者向け窓口や、経済産業省Webフォームがあります。これら全体の運用状況については、令和4年7月29日付けの経済産業省プレスリリースをご覧ください。

「令和3年度デジタルプラットフォーム取引相談窓口の運用状況をまとめました」
https://www.meti.go.jp/press/2022/07/20220729004/20220729004.html

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